前回の仮交際相手は、とても優しい人でした。
条件も悪くない。
会話も普通にできる。
それでも私は、
「この人とは結婚できない。」
と感じました。
そして、
その頃、もう一人仮交際をしていた男性がいました。
正直に言うと、
その人はプロフィールでは全く印象に残らない人でした。
写真を見ても、
「普通の人だな。」
それくらい。
でも、その人が今の夫です。
この時の私は、
まさかこの人と結婚するなんて
1ミリも思っていませんでした。
婚活のルールに戸惑った私
結婚相談所では、
仮交際中に複数人と会うことができます。
最初は、
この仕組みに抵抗しかありませんでした。
「こんなことしていいの?」
「相手を比べるなんて失礼じゃない?」
「私も誰かと比較されているんだろうな…」
そんなことばかり考えていました。
まるで、
人を品定めしているような気持ちになってしまったんです。
しかも私は、
もともと器用な性格ではありません。
複数人と同時にやり取りをして、
それぞれとデートを重ねるなんて、
私にできる気がしませんでした。
「やっぱり私には結婚相談所での婚活は向いていないのかもしれない。」
そんなことを何度も考えました。
結婚相談所では、
同時交際はごく普通のことです。
でも、
私にとっては全く普通ではありませんでした。
だからこそ、
婚活を始めたばかりの頃は、
お見合いをすることよりも、
この仕組みに慣れることの方が大変だったように思います。
でも、
婚活を続ける中で気づいたことがあります。
比較していたのは、
年収でも、
学歴でも、
顔でもありませんでした。
一緒にいて笑えるか。
無理をしなくていいか。
未来を想像できるか。
そんな”相性”を知るための時間だったんです。
プロフィールでは、何も分からない
婚活を始めた頃の私は、
年齢だけで判断していました。
できれば同年代。
できれば40代。
そんな条件ばかり見ていました。
でも、
お見合いを重ねるうちに考えが変わります。
「プロフィールだけでは何も分からない。」
だから私は、
「まず会ってみよう。」
そう決めました。
その結果、
50代の方とも何人かお見合いをしました。
その中の一人が、
今の夫でした。
正直、全く期待していなかった
夫のプロフィールを見た時の感想は、
「え、これだけ?」
でした。
営業の仕事をしていて、
結婚後は二人で食事を楽しみたい。
休日はドライブに行きたい。
本当にそれくらい…
他の男性は、
趣味、
休日の過ごし方、
仕事、
結婚観、
子どもの頃の話まで、
長文でびっしり書いていました。
でも夫は驚くほどシンプル。
ここまでシンプルなプロフィールは珍しく、
正直、
「もっと自分のことを書けばいいのに…」
と思いました。
実際、この時点では
前回の彼の方が
「結婚相手として有力」だと思っていました。
仮にプロフィールだけで判断するなら、
夫を選ぶ理由はほとんどありませんでした。
だからこそ、
この先の展開は私自身も全く想像していなかったんです。
あれ…写真と違う…
お見合いの日。
いつものホテルラウンジ。
私は少し早めに到着して待っていました。
時間通りに現れた主人を見た瞬間、
正直に思いました。
「あれ…写真より、少し年上に見えるかも…」
「大丈夫かな…」
少しうつむき加減で、
あまり目も合わず、
表情もどこか暗く見えました。
写真で見ていた印象とは少し違っていて、
第一印象は、
正直あまり良くありませんでした。
「もしかしたら、
この人とも今日だけで終わるかもしれないな。」
正直、この時点では
「もう一度会いたい」
という気持ちはありませんでした。
でも、その第一印象は、
話し始めてわずか数分で変わることになります。
頑張らなくても話せた
前回の彼とも会話はできました。
でも、
「何を話そう」
「沈黙にならないようにしよう」と、
いつも頭のどこかで考えていました。
今思えば、私は
“会話を楽しむ”より、
“会話を続けることに必死”だったんだと思います。
でも夫とは違いました。
気づけば自然と話していました。
“頑張って話している”
という感覚がなかったんです。
質問をすると、
一つひとつ丁寧に答えてくれる。
そして必ず、
私にも質問を返してくれる。
会話を続けようとしてくれているのが伝わってきました。
私はその姿勢が嬉しかったんです。
口下手なのは分かる。
でも、
「ちゃんとあなたを知りたい。」
そんな気持ちが伝わってきました。
「一緒に行けたら嬉しいです」
ドライブの話になった時でした。
「どこに行きたいですか?」
と聞かれ、
私は
「淡路島とかいいですよね。」
と答えました。
すると夫は
「淡路島は近いですけど、
少し旅行した気分にもなれますし、
食べ物もおいしくていいですよね。」
と笑顔で話してくれました。
私が、
「道端で売っている玉ねぎを買ったりしたいんですよね。」
と言うと、
「そういうのもいいですね。
ぜひ今度、一緒に行けたら嬉しいです。」
と自然に言ってくれたんです。
「あ、この人は本当に次も会いたいと思ってくれているんだ。」
そう思ったら、
なんだか急に嬉しくなりました。
忘れられない、お風呂の話
今でもよく覚えている会話があります。
私は昔から、
家を建てたらお風呂にテレビを付けたい!
という夢がありました。
「最近あまり見ませんよね。」
と言うと、
否定することもなく、
「いいと思いますよ。」
と笑ってくれたんです。
否定するどころか、
主人は仕事で、お風呂設備の施工の営業もしていたので、
そのことについて色々と楽しそうに教えてくれました。
何気ない会話なのに、
すごく楽しかった。
「あ、この人と話す時間って心地いいな。」
そう感じた瞬間でした。
居心地がいいって、こういうことか
前回仮交際を終了した彼も、
優しい人でした。
でも、
その優しさに私は気を遣ってしまいました。
笑顔を作って、
話題を探して、
沈黙を埋めようとして、
帰る頃には、
いつもどっと疲れていました。
でも夫とは違いました。
もちろん緊張はしています。
それでも、
無理に話さなくても苦しくない。
変な沈黙もありませんでした。
そして自然と、
結婚した後の話になりました。
「毎日、一緒に美味しいご飯を食べたいですね。」
「休みの日は、
一緒に買い物へ行ったり、
たまにはドライブにも行きたいですね。」
「二人の時間を大切にできる家庭がいいですね。」
そんな何気ない未来の話を、
気負うことなく自然にしていました。
「もしマイホームを持つなら、
一軒家がいいですか?
それともマンションですか?」
そんな話もしましたし、
お互いの家族のことも話しました。
私が婚活を始めた頃に思い描いていたお見合いは、
まさにこんな時間でした。
条件を確認し合うだけではなく、
二人の未来を自然に想像できる会話。
そんな時間が、
とても心地よかったんです。
この時はまだ、
それが恋愛なのか、
相性なのかは分かりませんでした。
でも、
「もっとこの人と話していたい。」
そんな気持ちが、
少しずつ芽生えていました。
帰り道で気づいたこと
気づけば、
お見合いは1時間を過ぎていました。
本来なら、
もう終わる時間です。
でも、
話を終わらせるタイミングが見つからないくらい、
会話が自然でした。
「そろそろですね。」
そう言いながら席を立った時、
少しだけ名残惜しい気持ちになっていたのを覚えています。
帰り道も、
同じ方向だったので、
駅まで歩きながら話しました。
夫は最後まで少し緊張している様子でした。
それでも、
その不器用さがなんだか人間らしくて、
私はますます好印象を持ちました。
駅で別れて一人になった時、
ふと思いました。
「あれ、今日は全然疲れていない。」
婚活を始めてからのお見合いは、
帰る頃にはぐったりしていることがほとんどでした。
前回の彼とのデートでも、
「今日も頑張ったな。」
そんな気持ちになっていました。
家に帰るとどっと疲れて、
「ちゃんと笑えていたかな。」
「変なこと言わなかったかな。」
そんな一人反省会をするのが、
いつものことでした。
でも、この日は違いました。
頭に浮かんだのは、
「楽しかったな。」
その一言だけ。
そして、その時初めて気づいたんです。
「あ、この人とは一緒にいて疲れない。」
その感覚は、
恋愛のドキドキとは少し違いました。
安心感というか、
肩の力を抜いて話せる心地よさ。
「また頑張って会わなきゃ。」
ではなく、
「また会いたい。」
そう自然に思えたのは、
婚活を始めてから初めてのことでした。
人生を変えた「なんとなく」
人生を変える出会いは、
必ずしも
「一目ぼれした人」
「プロフィールに惹かれた人」
ではありませんでした。
私の場合は、
「なんとなく会ってみよう。」
その小さな一歩が、
今の夫との出会いにつながりました。
婚活では、
どうしても条件やプロフィールに目がいってしまいます。
私もそうでした。
でも、本当に大切だったのは、
一緒にいて笑えること。
無理をしなくていいこと。
「また会いたい。」
と自然に思えることでした。
もし今、婚活中のあなたが
プロフィールだけで迷っている人がいるなら、
一度だけ会ってみるという選択をしてみてください。
人生を変える出会いは、
案外「何も感じなかった人」なのかもしれません。



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