親が年を取る。
そんな当たり前のことを、
私はどうしても受け入れられません。
優しくしたいのに、
イライラしてしまう。
大切な人なのに、
時には距離を置きたくなる。
そんな自分を、
私は何度も責めてきました。
でも私は、
母が嫌いなんじゃない。
むしろ、
誰よりも大切だからこそ、
年老いていく姿を見るのが辛いんです。
今日は、
私が親の老いを受け入れられない理由を書いてみようと思います。
家に安心できる場所はなかった
私は、不完全な家庭で育ちました。
父は仕事をせず、
ギャンブルにのめり込んでいきました。
家にいる時は部屋に閉じこもり、
家族からお金を奪い取っては、
ギャンブルに出かけていきます。
負けて帰ってきた日は最悪でした。
大声を出す。
物を投げる。
家族に怒鳴り散らす。
私は怖くて、
2階へ駆け上がり、
布団を頭からかぶって、
耳を塞いでいました。
そんな生活が、
幼い頃から小学生まで続きました。
家に安心できる場所はありませんでした。
もちろん、
友達にも言えません。
私は少しずつ、
自分の殻に閉じこもっていきました。
唯一私たちを守ってくれた母
父が家庭を壊しました。
そんな父と暮らしていた母も、
ボロボロでした。
父方の祖母も同居していましたが、
私たちを支えてくれることはありませんでした。
むしろ、
「こうなったのは、あなたのせい」
と、
母を責めていました。
母はいわゆる、
嫁いびりにあっていました。
それでも、
母は毎日働き続けました。
私と兄を育てるために。
当時の私は、
母が家にいないことが寂しかった。
一緒にご飯を食べたい。
もっと話したい。
そんな気持ちもありました。
でも今ならわかります。
母は、
自分の人生を削って、
私たちを守ってくれていたんだと。
母を守ることが、私の人生になった
私が小学6年生の時、
両親は離婚しました。
私と兄、
そして母の3人で家を出ました。
母は、
今まで以上に働きました。
仕事を掛け持ちして、
必死に私たちを育ててくれました。
でも私は、
感謝よりも、
罪悪感の方が大きかったんです。
私たちがいるから、
母はこんなに苦労している。
そう思っていました。
母が頑張れば頑張るほど、
申し訳なくなったんです。
いつか母を楽にしてあげないと。
私が働いて、
私が支えて、
母を幸せにしないと。
そう思いながら生きてきました。
母は50代になってから、
保育士の資格を取りました。
仕事をしながら、
勉強もしていました。
努力家で、
我慢強くて、
優しくて。
私は母を心から尊敬しています。
父がちゃんと働いてくれていたら。
何度そう思ったかわかりません。
でも母は、
そんな人生を恨むことなく、
前を向いて生き続けていました。
だから私は、
母を守ることが、
自分の役目なんだと思っていました。
自分の人生を後回しにしてきた
兄は早く家を出て、
20代からは、母と私の二人暮らしでした。
本当は、
一人暮らしもしたかった。
自由な生活にも憧れていました。
でも、
私が家を出たら、
母はどうなる?
そう思うと、
できませんでした。
気付けば30代。
結婚願望は強くありませんでしたが、
いつまでも母と二人というわけにはいかない。
そんな焦りはありました。
でも、
現実は簡単じゃありません。
そして何より、
周りの言葉が辛かった。
「実家暮らしって楽でいいね」
「お金いっぱい貯まるでしょ」
そんな言葉を何度もかけられました。
悔しかったです。
私は親に甘えてなんかいない。
家庭には、
それぞれ事情がある。
私たちの苦労も知らないくせに。
何度も、
一人で泣きました。
私は私。
人は人。
そうやって、きっぱり線を引ける人もいると思います。
でも私は、そんなに器用じゃありませんでした。
悔しかった。
自由に一人暮らしをして、
恋愛をして、
好きな場所へ出かけて、
そんな同年代を見ていると、
羨ましい気持ちと、
妬みのような気持ちが湧いてきました。
どうして私だけ。
そんなことを何度も考えました。
もちろん、
母が悪いわけじゃありません。
母には感謝しかない。
それは分かっているんです。
でも、
周りから心ない言葉をかけられるたび、
なぜか母にまで苛立ってしまうことがありました。
母がいるから、
私は自由になれない。
そんな最低なことを、
心のどこかで考えてしまっていたんです。
母は何も悪くないのに。
そんな自分が嫌で、
また母に優しくできなくなって、
自己嫌悪に陥る。
私はずっと、
感謝と苛立ちの間を、
行ったり来たりしていました。
私はずっと、
母を守ることを人生にしてきました。
でも、
そんな私の気持ちは、
母が大病を患ったことで、
さらに大きく揺らぐことになります。
後編では、
母が入院した日のこと、
そして、
大好きな母に優しくできなくなった私の話を書こうと思います。



コメント