仮交際が始まってから、
彼とは2~3日に一度くらいのペースで
LINEをしていました。
相変わらず仕事は忙しそうで、
日本各地を飛び回ったり、
海外へ出張したり。
そんな毎日の中でも、
「次はイタリアンでもどうですか?」
と、私との二度目のデートを提案してくれました。
仕事柄、会食をする機会が多いようで、
いろいろなお店を知っている彼。
「どんなお店を予約してくれるんだろう。」
少し楽しみにしていた自分がいました。
前回のデートでも感じましたが、
彼は決して話し上手ではありません。
でも、
忙しい中でお店を探してくれたり、
日程を調整してくれたり。
そういう行動からは、
私とのご縁を大切にしようとしてくれている気持ちが伝わってきました。
「二回目なら、
もう少し距離が縮まるかもしれない。」
「今日は、
前回よりもっと彼のことを知れるかもしれない。」
そんな期待を抱きながら、
私は待ち合わせ場所へ向かいました。
あれ?最初に感じた、小さな違和感
待ち合わせは、お店の最寄り駅でした。
彼の姿を見つけた瞬間、
「あれ?」
と思いました。
前回のデートとは、
どこか雰囲気が違ったのです。
一回目のデートは、
大人らしい落ち着きがあり、
とても素敵だと感じた服装でした。
でも、
この日は少し年齢を感じるようなファッション。
「あれ?」
そんな小さな違和感でした。
もちろん服装だけで人を判断するつもりはありません。
でも、不思議なことに、
第一印象というのは心に残るものなんです。
私たちはそのまま、お店へ向かいました。
古い建物をリノベーションしたような、
おしゃれなイタリアンバル。
落ち着いた雰囲気で、
「今日はどんな話ができるんだろう。」
そんな期待を抱きながら席につきました。
距離の縮まらない会話
彼はビールを注文し、
私はジュースを注文しました。
メニューを開きながら、
「好きなものを選んでくださいね。」
と言ってくれました。
でも、
お酒を楽しむ人向けのお店だったこともあり、
私は何を頼めばいいのか分かりませんでした。
「お任せします。」
そう伝えると、彼は
「いや、好きなものを選んでください。」
と、私を気遣ってくれました。
その優しさが嬉しくて、
いくつか候補を伝えました。
そのあと彼は、
しばらくメニューを眺めたまま考え込んでいました。
あれ?まだ注文しないのかな…
もう少しスマートに決めてくれてもいいのにな…
そんな風に思いながらも、
きっと慎重な性格なんだろうな…
と、自分に言い聞かせていました。
注文が終わると、
前回のデートのお礼や仕事の話、
趣味のこと、旅行の話などをしました。
でも、やっぱり今回も、
話題を出すのは私でした。
私が質問すると彼は丁寧に答えてくれます。
でも彼から話題が広がることは、
あまりありません。
前にも感じていたこの”違和感”は
もしかして消えないのかもしれない…
そんな思いが、
少しずつ心に広がっていきました。
話したいことは、他にたくさんあった
食事の途中で、彼はワインを注文しました。
私は何気なく、
「私もワインとか、
美味しく飲めたらよかったんですけどね。」
と言いました。
すると、
「そうでしたね、
お酒は飲めなかったんですよね。」
と彼。
私は、
「前にも私がお酒が飲めない話はしたし、
この話はここで終わるかな。」
と思っていました。
ところが、
そのあと話題はずっとお酒の話でした。
昔は自分もあまり飲めなかったこと。
海外で飲んだドイツビールが美味しかったこと。
もちろん、それ自体は楽しい話です。
でも、
そこから話題が広がっていきません。
私は相づちを打ちながら、
「お酒が飲めたら、
人生もっと楽しかったかもしれません。」
そんなふうに返してみたりもしました。
少し沈黙になると、
今度こそ別の話になるかな。
そう思った次の瞬間、
また彼がお酒の話を始めます。
「また、その話なんだ。」
そう思った自分がいました。
話題が悪いわけではありません。
でも、
私が知りたかったこと、
話したかったことは、
そんなことじゃなかったんです。
聞きたいことが、どうしても聞けなかった
私の頭の中には、
ずっと別のことがありました。
結婚したら、どんな生活を送りたいのか。
どんな家庭を築きたいのか。
人生で何を大切にしているのか。
家族との関係。
そして、子どものこと。
私にとって、一番確認したかったことです。
話さなければいけないことは、
たくさんあるはずでした。
でも彼から、
そういう話題が出る気配はありません。
「それなら私から聞かなきゃ。」
そう思いながらも、
なかなか切り出す勇気が出ませんでした。
この話をした瞬間に、
ご縁が終わってしまうかもしれない。
そんな怖さもありました。
でも今振り返ると、
どこかで、
「この人とは違うのかもしれない。」
そんな気持ちが芽生え始めていたのかもしれません。
もし、
「この人のことをもっと知りたい。」
そう強く思えていたなら、
私はきっと、
自分から子どもの話も切り出していたと思います。
40歳の婚活に猶予なんてなかった
私たちは、
自然な恋愛で出会ったわけではありません。
結婚相談所で出会い、
結婚を前提に仮交際をしている二人です。
だから私は、
楽しいだけのデートでは
意味がないと思っていました。
もちろん、
何気ない会話も大切です。
でも、
それだけでは前へ進めません。
どんな結婚生活を望んでいるのか。
どんな価値観を持っているのか。
子どもについてどう考えているのか。
そういう大切な話を、
一つずつ確認していかなければならない。
私はそう考えていました。
もちろん、
普通の恋愛なら
二回目のデートで
子どもの話をすることは少ないでしょう。
でも婚活は違います。
40歳の私には、時間がありませんでした。
「もう少し仲良くなってから。」
そう言って先延ばしにしている時間はない。
伝えなければいけないことは、伝える。
確認しなければいけないことは、確認する。
そうしなければ、
お互いの大切な時間を無駄にしてしまう。
当時の私は、
そう思っていました。
今思えば、
少し真面目すぎたのかもしれません。
でも、それが40歳だった私の婚活でした。
「いい人」で終わってしまった
婚活を始める前の私は、
「優しい人なら、それで十分。」
そう思っていました。
でも実際に婚活をしてみると、
優しいだけでは結婚を決断できない自分がいました。
一緒にいて自然体でいられること。
未来の話をしたいと思えること。
価値観を確かめ合いたいと思えること。
私が結婚相手に求めていたものは、
「優しさ」だけではなかったのです。
彼は最後まで、
本当に優しい人でした。
だからこそ、
「違う」
と感じてしまう自分が苦しかった。
もっと好きになれたらよかった。
もっと自然に心を開けたらよかった。
そう思っても、
心だけはどうしても動きませんでした。
帰り道、
私は静かに思いました。
「この人とも、ご縁はなかったんだ。」と。
婚活を始めてから、
「いい人だけど、結婚相手ではない。」
そう思ったのは、これが初めてではありません。
また同じ答えにたどり着いてしまった。
その現実を受け入れながら、
私は次へ進むしかありませんでした。



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